ナースのレベルを引き上げることは医療における大きな課題の一つです。十分に現場で働けるレベルにまで新卒ナースを教育するのには数年間かかるというのが実情ですが、できる限りその期間を短くして高いレベルで働ける人を現場に増やさなければなりません。
それを目的として新人の教育制度の充実が図られるようになり、厚生労働省からも新人看護職員の臨床研修等が努力義務として設定されました。医療の充実は国にとって欠かせないものであり、国が主導して現場が改善を行うという構図ができていているのが現状です。
しかし、必ずしも改善された研修制度によってレベルの引き上げばかりが目指されているわけではありません。新人にとって大切なのは意識改革であり、どのような方向性で学んでいく必要があるかについて明確に教育を行うのも課題として掲げられています。
特に大きな問題となっている離職率の高さに起因する人材不足への対応です。能力のある人材の流出を教育の段階で解決しようという動きは大きく、人材の必要性や役割の重要性などを教えるのが重視されているのが実情です。
また、退職の原因となりやすい出産や育児と仕事の両立についての方法や制度の提示、人間関係やコミュニケーションについての概論なども行われることが多くなっています。総合的にナースとして長く働けるようにするための教育を実施するようになっているのが新しい教育制度の特徴と言えるでしょう。それが最終的に医療レベルを上げるのにつながると期待されているのです。